大正2年8月

大正2年8月26日、台風が鳥島付近を通過する頃から福島県内に降り出した雨は、翌朝、台風が房総半島の南海上に達した頃には暴風雨となり、総雨量は150~200mmに達した。

出水状況は、本宮町で浸水約500戸、増水の程度としては、須賀川10尺、本宮9尺5寸~13尺、福島9尺1寸~10尺5寸、伏黒16尺。明治43年の大洪水時の水位よりも名取川で1尺6寸、阿武隈川で2尺高くなった。玉浦地内では、堤防全越水となり堤防の欠損、破壊、さらには津波の襲来もあり、約900戸浸水、耕地全部冠水などの被害を受けた。本出水の雨量記録では、下流部の4ヵ所で最高水位を記録し、うち2ヵ所は毎時記録を有するという驚異的なものであった。

明治43年の水害の復旧作業中に襲ってきたこの大洪水は、阿武隈川全域に甚大な被害をもたらした。上流部でも浸水、堤防の決壊、橋梁の流失などの被害が相次いだが、下流部においては台風による高潮を伴ったためさらに被害が拡大、明治43年に比すべき大洪水となった。

 

出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、16ページ

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