昭和23年9月

昭和23年9月13日、マリアナ群島付近に発生した台風21号(Ione)は進路を北西に取り、15日9時には中心示度970mbに達しながら本州南方800kmの海上に迫り、その後何度も進路を変えながら紀伊半島、御前崎南方を通り、伊豆半島をかすめ、房総半島南端から霞ケ浦を経て、17日早朝には三陸方面へと去った。

その影響で福島県地方は、15日夜半から16日明方にかけて降雨が始まり、16日がもっとも激しく、福島測候所では継続雨量193.5mmに達し、昭和13年9月の記録に次ぐ大雨となった。

この豪雨により阿武隈川の水位は急激に増水、本川阿久津量水標を始め福島、本宮、伏黒地区でもそれぞれ警戒水位を大幅に突破し、昭和16年以降第2位の洪水となった。堤防護岸の決壊が相次ぎ、本宮町が水浸、さらに下流の角田町では阿武隈川左支川小田川の堤防欠潰により町内一円に氾濫浸水するなど、各地で家屋や人畜、農作物、交通機関などの被害が相次ぎ、被害総額は約11億2,800万円にのぼった。

出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、64ページ

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