昭和25年8月

8月2日、台風11号が鳥島付近を北上、太平洋側で雨が振りはじめた。11号が関東地方から北陸に抜け、引き続き台風12号が北上してきたため福島、宮城、山形の各県に5日朝まで強い雨が降り続いた。

福島測候所の雨量記録は122mmに達した。さらに、奥羽山脈に沿っての降雨量が多く、荒川上流土湯観測所では250mmを示した。ちょうどその地帯には4月の災害で崩落した渓流の堰止めがあったため湖沼が破れ、出水と合流した。そのため水位が急激に上昇し、一大奔流と化して流下した。

豪雨のピークは3日夕刻から4日朝にかけてで、一夜にして福島県下に膨大な被害をもたらす結果となった。床上浸水1,000戸、道路決壊152ヵ所、橋梁流失179ヵ所、堤防決壊83ヵ所にのぼったほか、濁流によって橋台が傾き、東北本線が不通になるなど交通網も寸断された。これら土木関係の被害総額だけで2億5,000万円にのぼり、そのほかを合算すると損害総額は4億円を突破した。

出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、70ページ

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