昭和56年8月
昭和56年8月15日にルソン島の東海上に発生した台風15号は、日本の南海上を北北東に進み、徐々に加速しながら23日午前、房総半島に上陸した。上陸後も勢力は衰えず、さらに加速しながら関東地方東部を経て、東北地方を縦断し、同日夕方には北海道から日本海海上に抜けた。
8月23日午後7時頃、台風15号が阿武隈山系沿いを通過したため、福島市の鷲倉で降水量419mmに達したほか、白河市では測候所開設以来2番目の瞬間風速42mを記録した。
阿武隈川の二本松観測所で警戒水位を2m以上超える8.18mを記録したほか、福島や須賀川、本宮でも警戒水位を突破し、堤防の決壊は福島県全域で65ヵ所におよんだ。また、道路も土砂崩れや倒木で破損し、39ヵ所で通行止めとなった。さらに、住宅被害も相次ぎ、二本松市で新築中の家屋が倒壊したのをはじめ24戸が一部破損、51戸が床上浸水した。この台風15号による被害は、昭和54年の台風20号の被害(およそ100億4,000万円)に匹敵するものと推測された。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、106ページ