昭和46年9月
昭和46年8月21日に南鳥島付近に発生した台風23号は、勢力は弱いものの次第に発達しながら26日には硫黄島に達し、ゆっくり西進しながら28日には中型の台風となった。さらに、一時は非常に強い大型の台風となったが、大隅半島に上陸する頃から次第に弱まり、その後宮崎市付近から海上に出たが、本州南岸に度々再上陸、31日にようやく鹿島灘に抜けた。
この台風の接近により東北地方でも8月30日から降り始めた雨は次第に激しくなり、31日、9月1日は風・雨ともに強く、特に福島地区流域では平均雨量165mmと記録的な降雨となった。31日から上昇をはじめた阿武隈川の水位は、上流の須賀川で警戒水位5mを、阿久津でも警戒水位4mをそれぞれ突破した。
台風23号は福島県下に豪雨をもたらし、床上・床下浸水は2,800戸を超え、道路決壊は59ヵ所、田畑冠水は1,650haにのぼった。
また、東北本線、常磐線が不通になったほか、県道・国道が冠水や土砂崩れにより45ヵ所が不通となるなど県内の道路網もズタズタに寸断された。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、98ページ