昭和13年9月
昭和13年8月29日、父島東方海上に発生した台風が関東平野を通過し、新潟方面にぬける際に福島県地方にも断続的な降雨をもたらした。さらに9月1日、猪苗代方面に雷雨が発生、台風の影響と相まって豪雨となり、北上・阿武隈山系での総雨量は300~350mmにまで達した。阿武隈川の水位は急上昇、警戒水位をはるかに突破し大洪水となった。伊達郡伏黒地区においては、同年6月災害による復旧工事中の堤防を溢流し、下流堤防300mを崩壊するなど、堤防護岸の決潰流失8ヵ所を数えた。また、支川荒川地区では、14ヵ所延長1,500mにわたって堤防護岸が流出したが、郡山地区および福島地区には大きな被害はなかった。
しかし、本宮町付近を始め伊達郡伏黒村や支川荒川筋沿岸町村の浸水面積は数百町歩におよび、農作物や人畜家屋への被害も甚大なものとなった。さらに、他の河川沿岸地域においても橋梁流失、山崩れ、土砂崩れなど、福島県下全域で多大な被害が報告された。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、26ページ