明治43年8月
明治43年8月、度重なる台風の襲来で、関東、東海、東北一帯を大洪水が襲った。台風が接近する以前から、秋田・青森を除く地域に雨の日が多く、2日から10日までに、小名浜188mm、福島155mm、宮古127mmの降雨があった。次の台風が接近するにつれて前線活動と相まって東北地方の中部以南では強い雨が降り、福島・小名浜・山形では、11日の日雨量が100mmに達した。
その後、関東地方を縦断しはじめた14日頃から台風による雨が本格化し、15、16日と降り続き、雨の期間の長い典型的な雨台風となった。本出水の記録は、白河2尺、本宮2~14尺、福島6尺4寸~7尺5寸、梁川10尺余り。阿武隈川下流部の4ヵ所では雨量の最高記録に達し、柴田町では、堤防100間が決壊し同町を飲み込み、さらに千貫村や岩沼町および玉浦町などで氾濫、浸水、道路や堤防の決壊、橋梁の流出などが相次いだ。
耕作物の被害も甚大で、特に玉浦、六郷の両村では数日にわたって冠水したため無収穫の状態であった。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、14ページ