平成10年9月
平成10年9月16日、大型で並の強さの台風5号は、静岡県御前崎付近に上陸、東海から関東地方暴風域に巻き込んで北上、東北地方を縦断し、北海道東部へと達した。台風5号の接近、通過に伴い、福島県内では15日夜から16日にかけて山沿いを中心に激しい風に見舞われた。15日午後5時からの24時間雨量は、福島市の吾妻山で290mmを記録したほか、白河市で117mm、会津若松市といわき市平で99mmであった。阿武隈川の水位も軒並み上昇、須賀川市で5.48m、二本松市で7.07mと警戒水位を超えている。また、阿武隈川の支川荒川では右岸の堤防が長さ約100mにわたって決壊、国道や県道、下流域の家屋や近くの工業団地などに濁流が押し寄せた。住民は避難を余儀なくされ、工業団地ではコンピューター制御機器が水浸しになるなど、生活や産業にさまざまな被害をもたらした。さらに、各地で発生した河川の増水やがけ崩れなどにより交通網も寸断され、学校の休校が相次いだ。そのほか、相馬市では強風で果樹が落下し、その被害額は6千万円以上におよんだ。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、172ページ