平成6年9月
平成6年9月21日、中国大陸にあった前線を伴った低気圧が日本海を北北東に進み、東風が吹き込み、さらに上空に寒気が入り込んだため大気の状態が非常に不安定となり、宮城県内は22日から断続的に雷を伴った冷たい雨に見舞われた。
各方面に重大な災害をもたらしながら23日午後には低気圧は太平洋を北東へ遠ざかり、前線も本州の東海上に遠ざかった。宮城県、特に名取市、岩沼市を中心とした局地的な大雨が23日の午前11時頃まで降り続き、阿武隈川よりも地盤の低い所を流れる支川五間堀川は、周囲の水をも集めて水位が急上昇。越水、内水氾濫により家屋の浸水や交通網の遮断など、地域全体に大きな被害をもたらした。
「9月22日豪雨」の被害は、住宅の全壊5棟、床上・床下浸水7,220棟に達したほか、水田の冠水・浸水が8,117ha、さらにJR各線の運休、道路の損壊による通行止めなど、調査が進むにつれて拡大。宮城県内の被害総額は公共土木関係、商工関係、農業関係、など合わせて約246億円という莫大な金額に達した。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、146ページ