平成3年9月
平成3年9月15日に沖の鳥島の南東海上で発生した台風18号は、沖縄近海で向きを北東に変え、急速に加速しながら19日に千葉県銚子市沖を通り、20日には三陸沖で温帯低気圧に変わった。
この台風18号の北上と秋雨前線の活発化に伴い、阿武隈川流域では18日夕方から19日午後にかけて大雨となり、総雨量は50~190mmに達した。このため阿武隈川下流では、19日未明から水位が漸増し、全観測所で警戒水位を0.21~1.10m上回る出水となった。
福島県内の被害状況としては、幸い死傷者は出なかったものの、半壊・破損、床上・床下浸水など家屋の被害が414棟にのぼり、冠水や土砂崩れによる通行止めなどの交通規制が敷かれた国道、市町村道、有料道路は合わせて116ヵ所を数えた。また、JR線では運休が相次ぎ、約3万7千人の足に影響を及ぼした。さらに、田畑への冠水により水稲や野菜も打撃を受け、農道、林道の被害は約1億2千万円に達した。
出典)「阿武隈川 洪水記録写真集」、建設省福島工事事務所(現 国土交通省福島河川国道事務所)、平成12年3月、142ページ